防火対象物点検と消防用設備点検の違い|どちらが必要か
名前がよく似た「防火対象物点検」と「消防用設備等点検」は、目的の異なる別々の点検です。先に要点を示します。
防火対象物点検は防火管理の体制が適切かを、消防用設備等点検は設備そのものが正常に機能するかを確認します。目的の異なる別々の点検です。
消防用設備等点検は消防用設備等が設置された建物が広く対象。防火対象物点検は一定規模以上の特定防火対象物などが対象です。
消防用設備等点検=機器点検6か月に1回・総合点検1年に1回/防火対象物点検=年1回
建物の用途・規模・収容人員によって決まります。建物によっては両方が必要になります。
どちらの点検が必要かは、建物の用途・規模・収容人員によって要否が変わります。該当の有無は自己判断せず、管轄の消防署にご確認ください。
2つの点検はまったく別物
まず押さえておきたいのは、「防火対象物点検」と「消防用設備等点検」は目的が違う、別々の点検だということです。ざっくり言えば、消防用設備等点検は「モノ(設備)が正常に動くか」を見る点検、防火対象物点検は「管理(防火管理体制)がきちんとできているか」を見る点検です。名前が似ているため混同されがちですが、どちらか一方を行えば両方を満たせるわけではありません。
消防用設備等点検とは(設備が正常に機能するか)
消防用設備等点検は、消火器・誘導灯・自動火災報知設備・スプリンクラーなどの消防用設備等が正常に機能するかを確認する点検です。根拠は消防法第17条の3の3で、消防用設備等が設置された建物が広く対象になります。
- 目的:設備が正常に作動・機能するかの確認。
- 頻度の目安:機器点検が6か月に1回、総合点検が1年に1回。
- 実施できる人:消防設備士・消防設備点検資格者などの有資格者、または建物の関係者(規模等により異なります)。
多くの店舗・事務所・ビルが対象になる、最も身近な点検です。
防火対象物点検とは(防火管理が適切か)
防火対象物点検は、防火管理が適切に行われているかを確認する点検です。根拠は消防法第8条の2の2で、一定規模以上の特定防火対象物など、対象として定められた建物が該当します。防火管理者の選任や消防計画、避難訓練、避難経路の確保といった「管理面」が点検の中心で、実施できるのは防火対象物点検資格者です。
根拠となる条文を読む(消防法 第八条の二の二第一項)
第八条第一項の防火対象物のうち火災の予防上必要があるものとして政令で定めるものの管理について権原を有する者は、総務省令で定めるところにより、定期に、防火対象物における火災の予防に関する専門的知識を有する者で総務省令で定める資格を有するもの(次項、次条第一項及び第三十六条第四項において「防火対象物点検資格者」という。)に、当該防火対象物における防火管理上必要な業務、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の設置及び維持その他火災の予防上必要な事項(次項、次条第一項及び第三十六条第四項において「点検対象事項」という。)がこの法律又はこの法律に基づく命令に規定する事項に関し総務省令で定める基準(次項、次条第一項及び第三十六条第四項において「点検基準」という。)に適合しているかどうかを点検させ、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。ただし、第十七条の三の三の規定による点検及び報告の対象となる事項については、この限りでない。
出典:e-Gov法令検索|消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第八条の二の二(e-Gov法令APIにより取得。条文は原文のまま)この条文の末尾には「ただし、第十七条の三の三の規定による点検及び報告の対象となる事項については、この限りでない。」という但し書きがあります。第17条の3の3は、まさに消防用設備等点検の根拠となる条文です。つまり、設備そのものの機能は消防用設備等点検が受け持ち、防火対象物点検はそれ以外の防火管理の適否を見る——という2つの点検の棲み分けが、条文自体に書き込まれているのです。
2つの点検を比べる
2つの点検の違いを、目的・対象・根拠条文・頻度・実施者の順に整理すると、次のようになります。
| 消防用設備等点検 | 防火対象物点検 | |
|---|---|---|
| 目的 | 設備が正常に機能するか | 防火管理が適切か |
| 対象となる建物 | 消防用設備等が設置された建物(広く対象) | 一定規模以上の特定防火対象物など |
| 根拠条文 | 消防法 第17条の3の3 | 消防法 第8条の2の2 |
| 頻度 | 機器点検6か月/総合点検1年 | 年1回(報告) |
| 点検する人 | 有資格者または関係者 | 防火対象物点検資格者 |
どちらが必要?の考え方
「自分の建物はどちらが必要なのか」は、建物の用途・規模・収容人員によって決まります。おおまかな考え方は次のとおりです。
- 消防用設備等点検は対象が広く、消防用設備等のある多くの建物が該当します。
- これに加えて、一定規模以上の特定防火対象物などでは防火対象物点検も必要になります。
対象となる建物では、消防用設備等点検と防火対象物点検の両方が必要になる場合があります。どちらか一方を済ませても、もう一方が免除されるわけではありません。
該当の有無は条文と建物の状況をあわせて判断する必要があるため、自己判断せず管轄の消防署で確認するのが確実です。
よくある質問
防火対象物点検と消防用設備等点検は何が違いますか?
目的が異なります。消防用設備等点検は、消火器や自動火災報知設備などの設備が正常に機能するかを確認する点検で、消防法第17条の3の3に基づきます。防火対象物点検は、防火管理が適切に行われているかを確認する点検で、消防法第8条の2の2に基づきます。実施できる人や頻度も異なり、消防用設備等点検は機器点検6か月・総合点検1年、防火対象物点検は年1回が目安です。
両方の点検が必要になることはありますか?
あります。消防用設備等点検は消防用設備等のある建物が広く対象になる一方、防火対象物点検は一定規模以上の特定防火対象物などが対象です。そのため、対象となる建物では消防用設備等点検と防火対象物点検の両方が必要になる場合があります。自分の建物がどちらに該当するかは、用途・規模・収容人員によって決まります。
防火対象物点検が必要なのはどんな建物ですか?
防火対象物点検は、一定規模以上の特定防火対象物など、対象として定められた建物が該当します。飲食店・物販店・ホテルなど不特定多数が利用する建物が中心です。該当するかどうかは、建物の用途・規模・収容人員などによって決まるため、必ず管轄の消防署にご確認ください。
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出典
- e-Gov法令検索「消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第八条の二の二」(e-Gov法令APIにより取得)
